私たちの塾に、ケアレスミスが多くてへこんでいる生徒がいました。ミスの多さに自分であきれているのに、母親からも　 「あんたがたるんでいるから、ケアレスミスするんだ」　と言われ、さらに落ち込んでいました。彼女は自分では、試験の度にケアレスミスをしないように、十 分注意していると言っていましたが、それでもなかなかミスがなくなりませんでした。ケアレスミスは、その人の性格に負うところが大きいので、気の緩みなど の精神論では解決しません。性格はそう簡単に変えらるものではないからです。だからケアレスミスはなかなか、なくならないのです。あなたもきっと、ケアレ スミスには悔しい思いをしたことがあるでしょう。私もケアレスミスには泣きました。それでも私の場合、悔しい思いが重なっていくにしたがって、ケアレスミ スがしだいに減っていきました。その悔しさがミスをなくそうという気持ちを強くしていったのです。それがよかったみたいです。しかし試験の度に悔しい思い をして、ミスが自然に減っていくというのは、ちょっと時間がかかりすぎます。

それでは、いったいどうすればもっと簡単に早くミスをなくす ことができるようになるでしょうか。そのためによく言われているのは、ふだんから注意すること、問題集をやっていて、計算をしなければならないところがあ れば、「絶対ミスしないぞ」　という気持ちで解くこと、また数学の計算の部分は、きちっと整理して、書いて計算するようにすること。数字そのものがきれいでなくてもいいですが、きちっとわかりやすく整理して書くことなどです。ふだんの癖や習慣がそのまま試験に表れるため、ふだんからミスをしない訓練をする ということです。

しかしこのようなケアレスミスをなくす方法は、確かに効果がありますが、ふだんからこれができないからミスをするのであって、このやり方がすんなりできるようだと、最初からケアレスミスなどしないのです。うち塾の生徒にも　「ふだんからミスをしないようにこころがけなさい」　とは言っていますが、ミスの多い生徒はそれだけでなかなかミスが減りません。

しかしこのやり方ではない、ケアレスミスを少 なくする方法を、私は知っています。私も結局にこの方法でミスを少なくしていきました。その方法とは、試験形式で問題を解く練習をすることです。模擬テス トでも過去問でもいいですから、きちんと時間を計って問題に取り組む練習をしてください。試験形式で問題に取り組むと、真剣になり、ミスをなくそうという 気持ちが、ふだんよりずっと強くなります。その気持ちが、ミスを少なくさせていきます。時間を計ると見直す時間や手を抜く問題など、どう試験に取り組む か、どうすれば点数を多く取れるかと考えます。ケアレスミスは致命傷になります。ふだんの勉強だと、ちょっとミスったぐらいでは、「ああミスった」　と思 うだけでそんなに深刻に受け止めない場合でも、試験形式ならもっと深刻に受け止めます。それがケアレスミスをなくしていきます。さっき言った塾生も、このよう な訓練を積み重ねてミスを減らしていきました。また、きちっと時間を計って本番の試験のようにできるなら、模擬テストや過去問でなくてもだいしょうぶです。ようするに点数に敏感になれるやり方ならOKです。

ケアレスミスは、あなたがたるんでいるからではありません。あなたの性格のせいです。ケアレスミスは本番形式で問題を解くことによって、確実になくしていくことができます。精神論では解決しません。

（お母様、お子様がケアレスミスが多いからと言って、精神論だけで、お子様を頭ごなしに怒らないないでくださいね。）