実力をつけるコツは、どの教科でもまずは１冊の教材を完全にマスターし自分のものとすることです。たとえば英文法の教材なら、どの問題も躊躇せず にすらすら答えが出てくるようになるまで、繰り返し学習することです。数学も問題を見ただけで解答までの道筋がよどみなく浮かぶようになるまで学習するこ とです。

教材をそこまでやりこめば、英文法で、たとえば関係代名詞の制限用法の問題だとしたら、その問題のページには徹夜で勉強したとき にこぼしたコーヒーのシミが上にあって、しかもそれは眠くてうとうとしていてうっかりつけてしまったシミだとか、また色ペンのオレンジのマーカーが不自然 に大きくはみ出してマーキングしているとかの、あなただけしかわからないサインがあります。そしてそれと一緒にさっき言った関係代名詞の制限用法の問題を 覚えています。記憶の順序では、サインが先で問題の解答が後かもしれません。

その教材はあなただけの教材です。その教材はあなたの身体や脳みその延長です。あなたの分身になります。そう感じるまで教材をやりこんでください。

そ してそのようなあなたの分身となる教材ができたら、実力が飛躍的に伸びるだけでなく、その教材があなたのお守りになります。入学試験会場で空き時間にその 教材を手にとってページを開け見るだけ精神が安定します。試験会場だけでなく勉強に不安を感じたり、試験の結果を見て落ち込んだりしているときに、その教 材を手にとって見るだけで不安が減ってきます。

１冊問題集を自分の分身と感じるまでやりこむこと、そこから受験勉強のコツというものが、皮膚感覚として理解できるようになります。頭の中で勉強の回路ができたのが感じれるようになります。