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小論文 18  (EUとグローバル化 まとめ 1) 

046最後にまとめです。EUは建前としては、ヨーロッパを統合して、ドルに対抗する強い通貨ユーロを流通させ、EU国家間の経済障壁を取り除き、経済を発展させることが目的です。そしてその統合のエネルギーとなったのは、安全保障に対する強い渇望でした。その渇望は、ヨーロッパの人々が、長い間戦乱にさらされていたという歴史的経緯から生じています。

国家の束縛を受けない経済活動によって、グローバル資本だけは恩恵を受けました。しかし豊かな国はより豊かになり、貧しい国はより貧しくなりました。しかもその傾向はさらに深まっています。また個人の貧富の格差も拡大しています。もしこれが一つの国の内部での、地域の経済格差であったり、同じ一つの国の国民の間での、貧富の格差であるならば、公共事業や地方交付税、累進課税などによって、格差を是正することができます。しかしたとえEU内でも、国家の枠を超えて所得を移転することについては、まだまだEU住民の賛意を得ることができていません。EU市民という共通の意識は希薄なのです。なので国家間の経済格差も、個人の間の貧富の差も、拡大する一方です

経済力の弱い国では、通貨ユーロは強すぎる通貨なので、貿易収支がますます悪化していきます。スペインのような、経済力の弱い国の失業率は、40パーセントに達しています。一方逆に経済力の強い国では、通貨ユーロは弱すぎるために、貿易黒字がどんどんたまってきます。これも統一通貨ユーロを使っている限り改善しません。しかしEUの優等生のドイツのような貿易黒字国でも、労働者の賃金はほとんど上がっていません。EU内では、国家の枠を超えた安価な労働力が、他国から入ってくるからです。これはグローバル企業にとっては、利益ですが、地元の労働者にっとては不利益です。

結局これでは、EUの住民は少しも幸せにはなっていません。グローバル企業と、それに出資する国際金融資本が恩恵を受けただけです。ひらたく言えば、金持ちがさらに金持ちになり、普通の市民がさらに貧しくなったということです。

さらにギリシャやスペインなどの、財政赤字で国債の償還のできない国では、水道施設などの公共財産を売却して、売却益を借金の返済にあてようとしています。買収するのは国際金融資本です。EUの一般住民はますます不幸にになっていきます。もう統合した以上、EU統合が失敗だったとおおっぴらに言う学者は少ないですが、EUは失敗したと言うのが、正しい判断だと思います。

 

 

 

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