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小論文 (EU) 15

058ここでまたEUに話をもどします。ギリシャは国債を返す(借金を返済する)ことができません。ギリシャ国債はユーロ建てだからです。なのでECBによる財務介入を受けています。倒産しかけた会社を救済するために、銀行が介入するのと同じです。銀行は業務の無駄を省き、一部の資産の処分をさせた上に、債務の減額や新たな融資をします。ECBもすることは同じです。新たな融資や債務の減額と引き換えに、緊縮財政と資産の供出を求めます。これが問題なのです。

会社の資産は不動産や株式ですが、国家の資産には何があるでしょうか。たとえば公共施設です。そのなかでも価値の高いものは、水道などの公共のインフラ設備です。ECBはギリシャ政府に、水道施設の売却をすすめています。売却民営化して、その売却益を国債の償還にあてるように指示しているのです。売却される水道施設はどこが買うのでしょうか。資本家が買うのです。どこか世界でお金のある組織や個人が資金を出します。利益を求めて資金を出します。資本の論理に従えばこれは当然のことです。

しかし水道などの公共インフラを民営化していいのでしょうか。たとえばギリシャの水道施設を、中国のファンドが買収したとします。そうすると中国がギリシャのライフラインを握ってしまうことになります。今回はドイツ中心のファンドが買収するようですが、買収先が民間のファンドであるかぎり、また別のところに売却されるかもしれません。水道施設は地域独占なので適切な競争がありません。

これらの公共サービスが民営化されると、私企業のように、資本の論理(株主が儲かる)によって運営されると、一部の資本家だけが利益を得ることになりかねません。それが資本主義経済の原則です。水道などの社会インフラは、効率を求め利益を追求するものではありません。少しくらいお金がかかっても安定していることが重要です。しかも長期の安定が絶対条件です。どこかのファンドのように、お金を出す側(株主側)は短期での利益を要求します。これが資本主義です。なのでこのような国民のライフラインである公共の財産は、国家が管理するべきものです。どこの国でもそうしています。

 

 

 

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