均衡財政の誤謬は、国家の会計を、一家庭の会計と混同することから生じます。国家はお金を刷ることができるのです。普通の家庭では無からお金を刷ることはできません。やれば犯罪になります。EUも日本もまだまだ国債の発行(通貨の発行)の余地があります。その証拠に国債の金利が日本は世界最低、ドイツも最低水準です。政府は借金(国債発行、結局は紙幣を刷ること)を、まだまだできるということに対して、国民的コンセンサスは形成されていないません。
アメリカが強いのは、世界中でもっとも信用ある通貨ドルを、自由に発行できるからです。基軸通貨のドルは、アメリカ経済の規模の大きさと、その強さに起因します。軍事力が大きいことも重要です。アメリカの軍事予算は、世界全体の軍事予算の40パーセントを占めます。だからドルに信用があるのです。アメリカは世界でもっとも信用のある通貨ドルを、自由に発行できることが、最大の強みなのです。ある意味自由にお金を作ることができるのです。この地位を守るためには、アメリカは戦争でも、暗殺でも、クーデターでも、平気でします。湾岸戦争や今の中東の混乱のおもな原因がここにあります。
EU統合は、ヨーロッパをまとめて、ドルに対抗できる強い通貨を持つことが目的のひとつでもありました。幸いユーロはドルに次ぐ決済通貨となっています。日本の円も強い通貨のひとつですが、円もユーロもドルにははるかに及びません。日本の強い経済力を利用して、円の国際的地位を高めようと試みますが、そうするとアメリカはつぶしにかかります。そういう政治家が力を持てば、スキャンダルを流してつぶしてしまいます。暗殺も辞さないでしょう。以前アジア通貨危機のとき、日本がアジア基金を作ってアジア諸国を救済しようとしました。でもアメリカが妨害して実現しませんでした。アジアの基軸通貨が、円になることを恐れたからです。