EU内での国家間の経済格差が、どんどん拡大していってます。それはユーロという共通統一通貨のせいだいうことを、前回にお話しました。もし日本国内で、地域ごとの経済格差が大きかったらどうするでしょうか。そのときは所得の移転をしますね。個人の間でも所得の格差が大きいと、同じ国民の間で所得の移転をします。累進課税や生活保護はその手段です。
地方間でも、地域格差を是正するために、補助金を出したり、地方交付税交付金などで、所得移転して、格差の是正をします。公共事業もその一つです。日本では東京都の税収が大きいです。また沖縄は一番所得の低い地域です。なので、政府は沖縄には、特別大きな補助金を交付しています。
このことについて、同じ国民である我々日本人からの苦情はありません。沖縄の人であろうと東京の人であろと、同じ日本人だからです。助け合うことに異議は出ません。ところが、これを他国の人、たとえば中国人の所得が、日本人に比べて極端に低いからという理由で、所得格差を縮めるために、所得の移転をすることができるでしょうか。できるわけがありません。それを認める国民はまずいないでしょう。もちろんODAという手段で、多少の援助はできますが、それは同じ日本の沖縄に援助するのとは、まったく別のものです。
これと同じように、EU内で経済格差が生じたからと言って、ドイツのお金を、ギリシャの財政赤字の補填には使うことはできないのです。ドイツは、統一通貨ユーロというドイツの実力より安い通貨のおかげで、域内に輸出しまくり、黒字をため込みました。しかしその黒字の一部を、ギリシャに移転することについては、ドイツ国民の同意は得られません。ドイツ人とっては、『なまけていたギリシャ人が悪い、どうして真面目に努力してきた我々ドイツ人の稼いだお金を、渡さなければならないのか。』 と言うことなのです。
これも格差拡大し続ける要因の一つです。