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小論文 4 (EU)

035EUは主権国家の集合体ですが、あなたも知ってのとおり、ユーロという共通通貨を発行しています。ヨーロッパは昔から戦乱にあけくれていました。たとえば30年戦争では、ドイツの人口の3分の2が失われたと言われています。日本では先の大戦、第二次世界大戦が大きな位置を占めますが、ヨーロッパでは第一次世界大戦の方が、たくさんの人が亡くなっています。ヨーロッパはいつも戦場になっていたのです。

日本本土には空襲はありましたが、沖縄戦を除いて本国が戦場になったことはありません。日本も戦国時代など、国土が戦乱にさらされたことがありますが、それは日本人どうしの戦いです。国どうしが陸続きで、自国に言語も宗教も違う民族が進入し、住民(国民)を巻き込みながら、その目の前で殺しあう、大陸(ヨーロッパ)の殺戮とは、わけが違います。言語や宗教が違う他民族は、同じ人間だとはみなされません。虫けらのように殺しても、宗教の違う異民族に対しては罪の意識を感じません。実際十字軍の時、キリスト教徒は、イスラム教徒の大人を奴隷に、子供は人肉として売買していました。それに比べ、日本の戦国時代の関が原の戦いでは、農民が弁当を持って見学に行った、という記録が残っているほどです。ちなみに30年戦争は、同じキリスト教徒の違う派閥間での戦争です。

また中国大陸では、ヨーロッパより激しい殺戮があったようです。このように、我々日本はどれだけ恵まれた歴史をもっているか、またそれゆえ安全保障に関して、世界標準からかけ離れた感覚を持ちやすいかということを、しっかり認識する必要があります。

少し前置きが長くなりましたが、というわけでヨーロッパ連合EUができたのは、安全保障の面からが大きいのです。ヨーロッパの国どうしで、これ以上殺しあうのは、まっぴらごめんだということです。そしてその結びつきを強くするために、経済の一体化を目指し、共通通貨のユーロを導入したのです。経済が統合され、同じ通貨を発行し、同じ通貨を使用する国家間で、戦争は起こらないと考えられるからです。

もちろん経済的合理性の追求が、統合推進のエネルギーになっていることは事実です。しかし経済的理由からの統合については、様々に強調されています。そのあたりについて解説している本は多いでしょう。でも安全保障が、統合推進の大きなエネルギーになっていることを、軽視してはいけません。このことを小論文で強調すれば、得点が高いと思います。

 

 

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