当時の庶民の学力が高いことももちろんですが、それより評価すべきは、その魂の高潔さです。
いくら頭が良くても、その才能を自分の欲望を満たすためだけに使っていたなら、日本には明治維新が来なかったでしょう。今頃日本という国が存在できたかということも疑問です。もし幕末から維新にかけて、そのような高潔な魂を持った人たちがいなければ、今の日本はどうなっていたでしょう。かつて2000年以上の歴史を持った天皇をいただいた民族がいたが、今ではロシア人との混血の人々が住んでいる。あるいは、今の東トルキスタン(ウイグル)やチベットのように、今の日本が中国の一部だというふうに、なってしまっているのではないでしょうか。たとえ日本が存在したとしても、今の日本とはまったく別の、魅力のない国になってしまっていることは、ほぼ間違いないと思います。
幕末に、これらのすぐれた人材を輩出することができたのは、江戸時代の教育がすばらしかったからです。江戸時代の教育とは寺子屋教育です。あるいは各地の藩校での教育です。
それではその寺子屋や藩校での教育で、明治以降行われ、今でも行われている教育と、何が違うのでしょうか。明治以降近代教育では、生徒を年齢ごとにに輪切りして、各学年ごとにまとめて教育しています。今の学校教育も、学年ごとにクラス編成され、いつも同じ年齢の生徒とだけ勉強していますね。しかし江戸時代の寺子屋や藩校では、新しく入塾してきた学生には、先に入塾した先輩がつき、その下で新入塾生が勉強していました。新入塾生は、まず先輩から勉強を教えてもらったのです。
(つづく)