最新の教育水準を表すデーターによれば、OECD加盟国の中で日本は、世界一の学力を示しています。
ゆとり教育で、一時期世界チャンピオンの座を他国に譲っていましたが、また最近チャンピオンの地位に返り咲きました。江戸時代のころから日本は、世界一の識字率を誇っていました。日本最古の歌集である万葉集にも、一般庶民の歌が多数選ばれています。江戸時代より1000年近く以前の歌集です。そのころから日本は、庶民レベルで教養水準が高かったことがわかります。万葉集の時代には、西洋ではまともな文学など存在しません。まして貴族以外の庶民が、歌を詠む(詩を書く)などということは、とうていおよびもつかないこでした。このように日本の教育水準が高いことは、歴史が示すとおりです。
しかし学力水準が高いだけで、その時代の教育が成功したとは言えません。学力もさることながら、それ以上に重要なのは、どれだけ世の中に役に立つ人材を、輩出することができたかが問題です。その時代の教育が、成功だったのかどうなのかということの判断基準は、どれだけ日本のためになる人材を輩出できたかによるのです。
そういう視点から判断すれば、日本の歴史の中で、最も優れた人材を生み出した時期は、幕末から明治維新にかけてではないでしょうか。日本の明治維新は世界史の奇跡です。その一番の理由は、特権階級である武士が、自らその既得権益を手放して、明治維新を成し遂げたことです。革命や改革は、主導する立場の人が、自ら特権を手放すことはありません。日本以外の国では、下位の階層の人たちが、上位の特権階級の階層の人たちを滅ぼして、社会を変えていきました。あるいは、上位の階層に位置する人たちどうしの、滅ぼしあいでした。日本の明治維新のように、特権階級の武士自らが、その権益を手放して、世の中を改革した例は、世界史の中には存在しないのです。
(つづく)