なんで勉強せなあかんの? 2
私の母はかなりの高齢で、最近ひ孫が生まれましたが、母にその赤ん坊を見せると元気になります。どうしてでしょうか、100年経てば無に帰する自分なのですが、ひ孫の存在は確かに自分の生命がつながっていっていることを、実感できるからでしょう。世間のおじいちゃん、おばあちゃんは、無条件に孫がかわいいようです。それも生命がつながっていることへの、喜びから来るものだと思います。
ここから、我々は人が生きていく意味やヒントを、見つけることができます。それは自分の遺伝子を継承していくことだけが、生きているい意味だというのではありません。次の世になにか貢献しようとすることから、人は生きている意義を見出すことができるのです。まず人は自分のこと、あるいは自分の家族のことだけを考えて生きていますが、それだけでは他の動物となんら 変わりません。しかしそれだけでなく、他人や社会に対して自分がどう貢献できるか、また次の世代の人たちに対して自分が何ができるか、という自覚を持つことが、生きている意味、生きがいにつながっていくのです。
世の中に対してできることは、何も政治家になったり、大科学者になったりするだけではありません。一日中たこ焼きを焼いているいるおばさんも、自分や家族のために仕事をしているのですが、けっしてそれだけではありません。たこ焼きを買って食べ、喜んでくれるお客さんがいるから、たこ焼きを焼いているのです。立派に世間に貢献しているのです。今このブログを読んでくださっているあなたは、過去にも、これから未来永劫も、あなただ一人なのです。あなたしかできないことが、たくさんあります。同じたこ焼きを焼いていても、そのたこ焼きはその人だけのものだし、お客さんに接する時も、その人特有の接し方、喜ばせ方をしているはずです。もう一度言いますが、あなたは過去にも、未来永劫この先も、今のあなた一人しかいないのです。
受験生である今のあなたは、目の前の勉強や好きな人のことなど、身近なことで頭がいっぱいかもし れません。しかし今この時から、自分がこの世の中に対して、どう貢献できるか、未来の世代に対して何ができるか、というこを頭の隅においておいてくだ い。以前このコーナーで初代東大総長の、山川健次郎のお話をしましたが、自分のためにだけでは、人はがんばれないし、心も豊かになれません。今この世や、 将来の世代に貢献することを、あなたも今から少し意識しておくだけで、勉強の意味も出てくるし、あなたの将来や人生がずっと豊かなものになると、私は確信します。