日本が海外から学問の輸入に重点が置かれていた時は、英語で話したり、英語で海外の人とコミュニケイションを取るといった能力は、あまり重要な能力ではありませんでした。それよりも英語の文章が理解できること、英語の文章をきちんとした日本語に翻訳できることの方がずっと重要だったのです。その名残だとも言えますが、今でも日本の英語教育は翻訳英語なのです。いわゆる英会話よりも、書かれた文章としての英語を理解することの方に重要が置かれているのです。
だから大学入試問題では、英語の能力、その中でも英文を読解する能力が問われるのです。私が大学生だったころのことを思い出してみると、英語だけの授業(たとえば物語や散文の読解など)は、一般教養の英語の授業として普通にありましたが、それとは別に各専門課程(西洋哲学や経済学など)でも英語の文献をずいぶん読まされました。
最近の大学入試ではそんな傾向にも少しずつ変化が現れています。最近の大学入試の英語問題は、英語によるコミュニケーション能力を試す問題が増えています。リスニングを課す大学も増えたし、センター試験にもリスニング試験が加えられました。
実際大学でやっていること(学問研究やその発表)の変化が、入学試験に反映します。英文を読解する能力に加えて、英語のコミュニケーション能力が必要とされてきています。いわゆる学問のグローバル化です。論文を英語で書くのはあたりまえで、学会では外国人と議論しなければなりません。たとえ国文学の研究でも、それを海外に向けて発信するためには英語が必要です。(3に続く)